
「求められたノスタルジア、瀬尾氏の本領」 2008-10-02
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瀬尾氏の描くラブコメの作風は一時的な流行にだけ便乗して、旋風一過後、きれいさっぱり記憶に残らない・・・等という近年多いラブコメではないところに、替えがたい長所があるのだ。
1990年代以降に生誕した、現10代・・・今の若人世代の人たちにとって、この「君のいる町」の描かれる舞台設定がどう映るかはわからない。大衆誌である「週刊少年マガジン」上で描かれるラブコメ。特に奇異な展開もあるわけではない、今の時代ラブコメは流行らないと言われるかも知れない。
ただ、惑星が恒星を周回するように、ブームもまた、周回する。リバイバルブーム、温故知新、カヴァー曲、リメイク・・・。それは言わずもがな、古き良き作品を改めて見る。人は文化的飽和状態になった時、原点に立ち返るのだろう。
瀬尾氏の作品はそんな原色の風景を基軸に描く、非常に作品の中枢にある隠し味を持った内容なのだ。
一通り読めばもういい。読んだから古本屋行き、或いは処分・・・。そう言う気にならない。何度でも読み返せる。何故か。
私も大都会からは乖離した田舎者なのかも知れないゆえのフィーリングなのか。それとも、ただ単にストーリーに共鳴しているだけなのか。
この作品の登場人物は、すべてそう言う周期されるアトモスフィア(ブーム・雰囲気)の原点にあるからだと、僕は思っている。
つまり、やがてブームが過ぎて忘れ去られてしまうのではなくて、数年、数十年後になって再びリバイバルの波が来た時に、このキャラクタが実に新鮮だと思える。日本人が潜在的に抱いている理想像を、瀬尾公治氏は意識しているのかいないのかはわからないが、表現されているのだ。